アメリカの肥満問題の現状
現在アメリカでは、1億3500万人の人々が、太りすぎ、或は肥満と診断されている。
これは成人人口の66%、或は3人に2人の成人、及び17%の子供達にあたり、中でも、黒人の平均肥満率はアメリカ人全体の平均よりも更に高く、太りすぎや肥満と診断されているのは、80%の成人の黒人女性、67%の成人の黒人男性、更に12歳から19歳の黒人の子供達なのである。この結果、肥満から引き起こされる心臓病、糖尿病、ガン、その他の病気を患う人たちが非常に多く、アメリカ国内では、毎週約1万人の人たちがこれらの病気が原因で死亡している、という現状である。特に若者達の間で、遺伝ではなく、食事や生活習慣から来るとされるタイプIIの糖尿病や、高血圧、心臓病などの症状が増加している。従い、肥満問題を解消することは、小さなサイズの洋服が着られるようになったり、外見がスマートになる、という個人的ベネ� ��ィットだけではなく、生死に関わる深刻な社会問題なのである。一方で、極度なダイエットで栄養バランス、そして精神バランスまでも崩してしまう若者たちも後を絶たない。
これらの社会問題は、正しい食生活や適度な運動に関する知識、そして適切な医療ガイダンスの欠如が大きな原因のひとつ、といえる。つまり、この社会問題は、情報やリソース、ツールなどの提供、そして教育の機会を設け、健康的なライフスタイルを普及させていくことで、解決しうる問題なのである。
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企業文化から生まれた50ミリオン・ポンド・チャレンジステート・ファームは、アメリカとカナダに6万8000人の社員と、1万7000軒の代理店を有する、北米大手の総合保険会社である。
同社には、企業文化として深く根付いているフィロソフィーがある。
それは"Live Well, Be Well"という、ステート・ファーム社に関わる全ての人々のウェルネスを尊重する、というものである。ヘルシーでハッピーなライフスタイルを促進するための様々なイニシアティブの展開や、社内施設の充実などを通して、社員や社員の家族のみならず、同社を"卒業"した元社員やその家族、顧客、そして同社が深く関わるコミュニティーの人々全体に対しても積極的に"Live Well, Be Well"を普及促進している。
"Live Well, Be Well"の核となる活動内容は、次の3点である:
1. 適切な運動の促進や栄養関連情報提供、体重管理の指導
2. ヘルシーなライフスタイル全般に関する教育とリソースの提供
3. 米国ガン協会(American Cancer Society)とのパートナーシップにより、禁煙プログラムや、がん予防ケアを促進する様々なプログラムの展開
この一環として、大型展開を始めたのが、「50ミリオン・ポンド・チャレンジ」である。
「50ミリオン・ポンド・チャレンジ」では、アメリカの中でも最も肥満問題が著しく、そしてステート・ファーム社の主要顧客を構成する黒人コミュニティーを主要ターゲットとし、プログラム参加者合わせて50ミリオンポンド(2265万kg相当)の減量にチャレンジしよう、というもの。18歳以上であれば誰でも参加できる。
2007年4月にワシントンDCでキックオフイベントが展開されて以来、このプログラムは現在全米14都市に広がっており、現在74万人の人々が参加しており、総計約300万ポンド(136万kg)の減量が既に達成されている 。
ドナ·減量
まず、「50ミリオン・ポンド・チャレンジ」への参加希望者はウェブサイトで登録を行い、登録時の体重を入力する。そして、自分の地域のステート・ファーム社の保険代理店で無料配布されている「チャレンジキット」を入手し、それに基づいて運動や食事改善などの実行プランを開始し、体重の変化をウェブ上で記録していく。
メディアでも人気のドクター・イアン・スミス
この「チャレンジキット」に含まれるのは、万歩計、ドクター・イアン・スミスによる情報冊子、そして、こちらもドクター・イアン・スミスをフィーチャーした、ゴール達成のためのモチベーションを高めるCDである。
このドクター・イアン・スミスが、「50ミリオン・ポンド・チャレンジ」の中心的立ち役者として、プログラム開発を全面的に行い、このプログラムの「顔」にもなっている医師である。ドクター・イアン・スミスは、人気の肥満攻略本、「The Fat Smash Diet」の著者であり、数々のテレビ番組やラジオ番組、雑誌などでもひっぱりだこのイケメン黒人医師だ。
生活習慣病を専門とするドクター・イアン・スミスは、「50ミリオン・ポンド・チャレンジ」のために情報冊子を書き下ろした。それが、「チャレンジキット」として無料配布されている情報冊子で、食事やエクササイズを含めた30日間の健康的なダイエットプログラム提案や、ライフスタイル向上のための秘訣、生活習慣病に関する知識、その他、身長ごとの理想体重表やエクササイズごとのカロリー消費量表など、情報満載な内容になっている。この情報冊子は、ウェブサイトからもダウンロード可能である。
疲労chronique potasse
更に、毎週月曜日には、プログラム参加者全員に対し、ドクター・イアン・スミスから、へルシーライフスタイルの為の秘訣などの情報を掲載した、ウィークリーニュースレターがE-mailで届けられる。
ソーシャル・ネットワーキングの要素で普及を図る"長期的なライフスタイル向上を目指し、さらにそれを維持していくには、チームワークが非常に大切だ。"と、ドクター・イアン・スミスは語る。
折角始めた運動や食事改善などの習慣も、一時的なチャレンジに終わらせず、生涯維持していく為には、家族や友人、同僚などと共に協力し合い、理解や支援を得ていくことが、成功の鍵である、ということだ。
そこで、「50ミリオン・ポンド・チャレンジ」の普及拡大、そして、改善されたライフスタイルの維持、という二つの大きな目標を達成するためステート・ファームが採用している手法は、ソーシャル・ネットワーキング(SNS)にも似た、独自ウェブサイト上でのコミュニティー形成促進である。
SNSと同様、プログラム参加者は、「50ミリオン・ポンド・チャレンジ」のウェブサイト上で自らチーム(コミュニティー)を開設することが出来、"チームメンバー"を募ることが出来る。参加者も、気に入ったチームがあれば、複数のチームに所属することも出来る。
例えば、ミシガン州在住の女性、ラワナ・ウィリアムさんは、"Sisters Inspiring Sisters"という、女性の親友同士が集まるチームを2007年7月に開設し、現在約500人の"チームメンバー"たちが所属している。ラワナさん自らは、このチーム開設当時から、38ポンド(約17kg)の減量に成功しており、"チームメンバー"全員を合わせると、390ポンド(約177kg)の減量を達成しているという。
現在このようなチームは、17,000チーム形成されており、それらのチームに所属している参加者達は、90,000人に上る。そして、ドクター・イアン・スミスが語るように、ライフスタイルの向上及び維持にチームワークが非常に功を奏している、ということは、コミュニティー形成を通したチームごとの数値的結果を見ると一目瞭然だ。
チームに参加をしている人たちの減量ゴール達成率は、参加していない人たちに比べ、20%も高いのである。
更に、このチームの支援によるゴール達成を公の場で評価して更にモチベーションを高めるため、「50ミリオン・ポンド・チャレンジ」では、「チャレンジャー・オブ・イヤー」という投票式の表彰を実施している。
自薦・他薦で選ばれた参加者たちは、チームワークを通した自分自身のゴール達成のストーリーや、いかに自分が他のチームメンバーのモチベーションを高める貢献をしたか、など、自身のストーリーを発表し、最終選考に選ばれた12人の"チャレンジャー"の中から、「50ミリオン・ポンド・チャレンジ」参加者全員が投票できるオンライン投票により、最優秀者が選ばれる。
今年の「チャレンジャー・オブ・イヤー」の投票は12月29日まで行われ、最優秀者には1000ドルの賞金が、そして、最優秀者に選ばれたチ� ��レンジャーに投票した人の中から抽選で1名にも1000ドルが贈られる。
【執筆】 ASPIRE Intelligence 社代表 リップシャッツ 信元 夏代
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